開発ストーリー
TUBE & ROD DEVELOPMENT STORY
Q1:この製品の開発、発表までの経緯は?
2013年にプロダクトデザイナーの松尾直哉氏が制作し、海外の展示会に出展した作品をDUENDEで商品化したいと申し出て、実現しました。
職業訓練校で溶接技術を学び、イギリスで家具の木工技術を習得した松尾氏は、自らの手でプロダクトを創り上げます。
出展したプロダクトはすでにデザインとして完成しており、いかにそのデザインを製品化に結び付けられるか、というとこらからスタートしました。
Q2:デザインや製品の特徴はどこ?
一本の木棒がベースから斜めにすっと伸びて、薄い天板を突き抜けていて佇まいがなんとも美しいと感じます。
横から見たときに、薄い繊細なタンブラーグラスに、支柱となっている木棒が、まるでグラスに刺さっているストローのような繊細な印象を受けます。
丸いベースから、一本の支柱が斜めに伸びてグラスの淵を通り抜けて天板の上に美しくつながっています。
「これでテーブルとして成立するのか」と心配になるほどオブジェのようなデザインがテーブルを置いた空間の周辺までも凛とさせてくれます。
サイドテーブルはソファーに腰かけた時に、上に置いてある飲み物や、リモコンなどを少し手を伸ばして取るような高さとサイズ感が一般的だと思いますが、TUBE&RODは、それらよりもやや天板の位置が高いのが特徴で、サブテーブルといったポジションです。
TUBE&RODの製品名の由来であるTUBEは薄いスチールパイプと木棒の意味ですが、木棒をパイプの外径に合わせた寸法で仕上げ、パイプに差し込む部分だけ木棒を細く削ってあります。
これによって凹凸のない一本の支柱がベースから天板を突き抜けて伸びているかの如く、端正なデザインが完成しています。
Q3:製品化に向けて苦労した点など
松尾さんの制作したプロトタイプを製品化するにあたり、変更したのは、ベースプレートの厚みのみです。
家で使うための製品ですから、安定性を向上させる目的でベース部分を重くしてあります。
最も苦労したのは、それぞれの部材寸法許容範囲がとても狭いことです。
一本の支柱だけで天板とベースを繋いでいるので、天板の水平を保つには、ベースから支柱が出る角度と、天板に支柱が繋がる角度が全く同じにしなければいけない点に、大変苦労しました。
加工工程としては、天板、ベースのスチールプレートに穴を開け、薄いパイプを溶接しますが、スチールが溶けるほどの溶接熱による変形を防がないと角度が狂ってしまうので一枚一枚、それぞれのパーツが動かないようにきつく固定して溶接をしています。
支柱である木棒についても、丸棒を回転させて刃物で削っていく旋盤機械では斜めに削り込むことが出来ないため、採用した加工方法に至るまでには、かなり頭を悩ませた記憶があります。
手作業によるバラつきを無くしたり、仕上がりの精度を美しく。
お家の一部としてインテリアに溶け込む製品になるように、さまざまな工程を踏まえてお作りしています。