Special #6-2

「一言でまとめると『バランスがいい』」

神戸市のセレクトショップ「WEBO」
オーナー井村俊介氏インタビュー - 後編 -

2023年10月24日

「今、気になる人」に会いに行く企画がスタート。1回目の話し手は、神戸市でセレクトショップ「WEBO」を運営する井村俊介さん。

後編では井村さんにDUENDEの印象や魅力を伺います。聞き手は日用品愛好家の渡辺平日さんです。

「DUENDEみたいなブランドって、なかなか無いです」

井村

そういえば、DUENDEの「BENT STOOL」を手掛けた岩元航大さんは、大学の後輩なんですよ。カタログを見ている時に知ってビックリしました。

 

それはなにか縁を感じますね。自分も愛用していますが、非常におもしろいプロダクトだと感じています。ところで、DUENDEを取り扱い始めたのは何年くらい前ですか?

井村

少なくとも10年は経っているはずです。最初に取り寄せたのは「STAND!」ですね。初めて見た時、その斬新さに驚きました。自分が知る限り、それまで縦型のティッシュボックスは存在しなかったので、ほんとうに衝撃的でした。

 

 

 

 

井村

STAND! みたいに「当たり前」を変えてくれるプロダクトは良いですね。デザインのおもしろさが詰まっています。ティッシュを強く引っ張ると倒れちゃうこともありますが、そういうデメリットを差し引いても魅力的に感じます。

 

常識を変えてくれる製品っておもしろいですよね。プロダクトデザインの醍醐味といえるのではないでしょうか。

では、DUENDEを取り扱おうと思った決め手はなんだったのですか?

井村

デザインとクオリティの高さが決め手ですね。細かいところまでこだわっている点も好印象でした。気が利いてるというか。

 

コストパフォーマンスに優れている点も決め手となりました。この価格帯ならお買い求めやすいだろうなと。一言でまとめると「バランスがいい」という感じですね。

 

上を見ればもっと良いものはあります。でも、買えなければ意味がないですよね。無理して買って生活がカツカツ……というのも違うかなと。だからこういうバランスの良いブランドは貴重だと思います。

 

 


「そのほうが健全かもしれません」

井村

話が変わりますが、今、インテリアや家具って二極化してますよね。

よく分かります。ものすごく安いか、あるいはその逆か……。ほぼその2択になっています。

井村

ええ。ですが、DUENDEのプロダクトは、うまく中間を開拓できている気がします。ちょっとだけ背伸びすれば手が届く価格帯ですから。

 

しかも品質が高いので、いずれ高級品を買えるようになっても、一緒に使い続けることができる。そういうブランドってなかなか無いと思います。

なるほど……。何事もそうですが、中間を開拓するのって非常に大事ですよね。

 

 

 

 

二極化に関連する話題ですが、トレンドはほとんど無くなって、無極化が進んでいる気がしませんか?

10年前であればエジソンバルブやメイソンジャーなど、ブレイクしているアイテムってそれなりに有りましたよね。でも今ははっきりしたブームはほぼ無い。もちろん局地的に流行するものはありますが。

井村

分かりやすい流行は無くなりましたよね。ただ、そのほうが健全かもしれません。流行りに左右されず、好きなものを買えている……と解釈できなくはないですから。

興味深い見解です。たしかにその通りですね。無極化ってそう悪いことじゃないかもしれません。店舗やメーカーからすると大変かもしれませんが。

 

 


「手触りが求められているのではないかと」

井村さんがおっしゃるとおり、ゆっくりと、しかし確実に、二極化が進んでいるように思います。――そのほかになにか気付きはありますか? たとえばここ10年で、お客様の嗜好はどのように変わりました?

井村

自分の感覚では「手触り」のあるものを求める方が増えているように思います。

手触りですか。たとえば天然木とかそういう?

井村

そうですね。あとはプラスチックのトレンドも変わってきていますね。昔はツルッした質感の製品が多かったのですが、最近はサラッとしたものが増えていると思います。

たしかにそうですね。興味深い観点です。その要因としてはどういうことが考えられますか?

 

 

DUENDE製品はスチールと天然木を組み合わせた製品が多い。
どちらも手触りを楽しむことができる素材だ。

井村

あくまでも自分の感覚ですが、スマートフォンの普及が大きいのではないでしょうか。たとえば、(物理ボタンが主流だった)ガラケーだと押した感覚がありますが……。

なるほど。スマホはタッチパネルだから手応えがほとんどないですね。

井村

長い人だと(スマホを)一日に何時間も触りますよね。そうなると当然、指先へのフィードバックが格段に減ります。やや突飛かもしれませんが、だからこそ手触りが求められているのではないかと。

非常におもしろい考察だと思います。プロダクトデザインを学ばれた方ならではですね。

井村

あくまでも仮説ですが(笑)。そういう見方をすると、DUENDEはフィードバックのある製品が多いと思います。

 

 


「新しいジャンルを創りだすようなプロダクトを」

興味深い話を聞かせてもらえて嬉しいです。最後に、あえてお伺いしますが、DUENDEに対してリクエストはありませんか?

井村

DUENDEに限った話ではないですが、もっと挑戦的なプロダクトが出てくると嬉しいです。個人的な感覚ですが、金型(金属製の型)を使った製品って、最近は少ないですよね。

金型は安くても数十万とかになるので、メーカーが尻込みするのも分かります。ですが、金型を使うからこそ作れるプロダクトもあるので、できるかぎりで挑戦するべきかもしれません。

井村

あとは、これもDUENDEだけではありませんが、「同じようなもの」ではなく、新規性の高いものを見てみたいです。

なるほど。たとえばDUENDEの場合、サイドテーブルの比率が多いですよね。数えてみると……4商品もあります。ただこれは、開発者の趣味も影響してそうです。なんでも、サイドテーブルが好きらしく。

井村

そうなんですね(笑)。そういうパターンもあるのか。おもしろいですね。

だいぶ特殊な例だと思いますが(笑)。正直なところ、自分も「これまでに無かったものを」と感じます。それこそSTAND! のように、新しいジャンルをつくりだすようなプロダクトを見てみたいです。

 

 

 

 

今日はありがとうございました。僕自身、DUENDEが好きなので、「おお、これはすごい!」と唸るような製品が出ると嬉しいです。そしてそれがWEBOで取り扱われるとなおのこと嬉しいです。WEBOさんも大好きなので。

井村

そう言ってもらえて嬉しいです。こちらこそ、今日はありがとうございました。お話しできて楽しかったです。

 

 


WEBO公式サイト:

text : 渡辺平日 photo : 小出和明

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