開発ストーリー
DEVELOPMENT STORY
Q1. たて型ティッシュケースの開発の経緯は?
プロダクトデザイナーの金山元太氏が展示会に出品していたプロトタイプを、DUENDEで商品化をしたいと申し出て実現したプロダクトです。
STAND! は、平らに寝ているのが当り前だったティッシュを立てて使う斬新なコンセプトでした。今までは手を伸ばしてティッシュをつまみ、上に引っ張るという自然な行為のところ、ケースから手前に引っ張り出すという、まったく新しい動作とデザインに代わっていました。
Q2. デザインのコンセプトや製品の仕様はどのように決まったのか
過去ティッシュボックスは厚さ10cmほどもあり、家の中ではその存在感が目立ち、大抵は花柄や大胆な柄が施されているものが主流だったため、多くの方はティッシュカバーを掛けて使用していました。それが紙質の向上からティッシュボックスそのものが薄型に変わっていき、パッケージのデザインもシンプルになっていった頃、STAND! ティッシュケースは誕生しました。
薄くて四角いボックスの表面がちょうど半分から下が手前に向かって斜めに降り立っている端正でシンプルという言葉では足りないくらい、無駄な装飾的要素を感じません。
使っている時には見えませんが、裏ブタがない事も大きなポイントだと思います。
ひっくり返してみると、フロントと背面のパーツが底面で1cm折り曲げてあり、ティッシュボックスを本体に下から押し込むと、カチッと収まって裏ブタを必要とせず、本体を持ち上げても、中身が落ちてこない仕組みと、ケース自体が斜めに歪むことを抑え、製品としての強度を保っています。
ミニマルデザインというにふさわしく、不必要なところは一切なく機能を果たす最低限の要素で出来ています。ずっと使えて飽きがこないのは、機能以外に付け加えた装飾的な要素がない点こそが、大きな理由ではないかと考えます。GOOD DESIGN賞を受賞したのも、この点が認められたからだと思います。
本当の定番、ベースとなる本質的なデザインであり、この製品を基に装飾を加えた別のデザインや製品はこれからもたくさん世に生まれると思いますが、恐らく今後ティッシュケースでこれよりシンプルで完成されたデザインは生まれないのではないでしょうか。
Q3. 製品化をする際にこだわった点など
単一の厚みのスチールプレートを曲げたパーツを二つ繋げてあるのですが、溶接してからその箇所を綺麗に磨いていかなければならず、量産をするのはとても難しかったです。溶接する部分が熱で歪んでしまったり、磨いた箇所が均等にならないなど、修正不可能な製品(B品)が山のようにできてしまいました。
何度も加工方法を検討し、部材の切断の切断面に工夫を施すことで溶接箇所に歪みが起きないようにし、磨きは全て一人の熟練職人が手掛けることでなんとか製品化が可能になりました。
STAND! ティッシュケースのデザインは、ずっと、長く使って頂ける製品だという想いで、難しい制作を乗り切ることができました。いまでは他社の製品もタテ型のケースがたくさん出ていますが、この製品がきっかけとなり、スタンダードなデザインになったことはブランドとしてもデザイナーとしても嬉しく思っています。