開発ストーリー

SOLID STEEL DINER TABLE DEVELOPMENT STORY

いま、必要とされるダイニングテーブルを

DUENDEには、主役よりも脇役的なプロダクトが多いです。
インテリアにおける主役というのは、ダイニングセット、ソファ、ベッドなどの家具を指し、「主役」の選択肢はとても多く世の中に存在します。
使い勝手を考えると、木製や布製がそれら主役の製品特性として合うと考えていましたし、スチールを構造材とした家具を作るDUENDEでやる必要性を感じなかった、というのがその理由です。

今回のダイニングテーブルの開発のきっかけは、後述の「現代の変化したダイニングシーン」を目の当たりにしたことが大きなきっかけでした。

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「使う人と空間と美しいと思える道具、それらが共存し育む大切な時間」を、DUENDEのプロダクトは作り出してきました。
しかしその「空間」、とくにダイニングシーンが、ここ数年で大きく変わったことを、多くの方が感じられているのではないでしょうか。

日本の首都圏や、地方都市での地価の高騰による住空間の狭小化。
夫婦共働きが当たり前のライフスタイル。
そしてライフステージの変化に伴う、リビングダイニングの使いかた。

 

変化する住宅・生活の事情

「東京23区における新築マンションの平均価格が1億円を突破しました。」という記事を読みました。都心へのアクセスもしやすく、広大な土地が残る豊洲や晴海、有明などは、毎年のように新築マンションが売り出されています。

その価格を見て驚きました。「最上階じゃなくて平均価格でこんな高いんだ……買う人も限られてくるだろうな……」と思いながら、専有面積を見ると「60平米未満」という数字で、さらに驚きました。

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「家族向け、という名目でこの面積って……」

狭い専有面積にファミリー向けの間取りが作られるとき、リビングダイニングスペースに皺寄せがやってきます。
そんな現代のリビングダイニング空間に、一般的な広々した1400×700の天板サイズのテーブルとダイニングチェアーを4つ置くと、食事をしていないアイドリングタイムにも大きなデッドスペースが生まれてしまうのが現実です。
また、子供たちが中高生になると、部活や塾で遅くなったり、家族が揃って食事をする機会も少なくなってきます。我が家も例に漏れずライフステージの変化を迎え、残念ながら家族揃っての食事は月に一度あるかないか、です。
そんなダイニングの一等地を大きく占有する我が家のテーブルとチェアーを見ながら、改めて日本のダイニングシーンは昔から何も変わっていないのだなと気づき、狭小化した住環境と、核家族化の先にある家族の形、そんな現代に合ったダイニングテーブルを、DUENDEとして作ろうと考えました。

 

**ソリューションとして考えるべきこと**

もちろん毎日料理をして、座り心地の良いチェアーに腰をかけ、広々としたテーブルでゆっくり食事の時間を過ごすのが理想だと思います。けれど、ドラマに出てくるような広い家なら何ら邪魔にもなりませんが、現代日本の住宅事情の厳しさを、海外ドラマなどを見ると実感します。

いまは結婚をしていても夫婦共に仕事をしているのがごく当たり前になりました。平日の食事は簡単に済ませ、週末だけゆったりと家で作るか、または外に食べに出るというスタイルが多くなったと、周囲を見ると実感します。
そうしたライフスタイルにも、やはりダイニングを大きく占有する旧来的なダイニングテーブルは、似つかわしくないなと思います。
そんな限られた空間しかない現代の都市部の暮らしに向けた、これからのダイニングシーンには、新たなテーブルの選択肢が必要だと、強く感じました。

開発は、この製品によって部屋の空間がどれだけ広く有効に使えるのか、ということを第一に進めました。
そのために、やや簡素な食事時間と共に、スペースをなるべく抑えた簡易食堂的な「ダイナーシーン」を想定し、既存の「主役」とは一線を画する、世の中にまだない選択肢となるダイニングテーブルを作ろうと考えました。

 

【Material】機能を成り立たせるマテリアル

ダイニングテーブルの天板素材としては、木材ベースのMDFやランバーコアに塗装、そして突板、メラミンやリノリウム貼りが多くを占めます。木の無垢材を継いだ集成材、ガラス、最近はセラミックなどもありますが、スチールの天板のテーブルは、商業施設やカフェでたまに見るだけで、家庭向けにはほとんど見たことがありません。
デメリットは冷たさや重さなどがあると思いますが、逆にスチールならではのメリットもあるのではないかと考えました。
スチール素材の特徴として、比重が重いということがあります。
例えば床材やテーブルに使われる頑丈な木材として有名なオークで、比重は0.67。ブナで0.65、ウォールナットで0.64、ホワイトパインは0.45など。
高い密度と重さをイメージさせるコンクリートでも2.3。ガラスは2.5。そのなかでスチールは7.8と、他に比べ重量がとても重い。だからスチールは薄くても重量があり、強度も高いのです。

今回開発したSOLID DINER TABLEの天板の厚みは、木材やベニヤでは不可能な3mm。
通常、20〜25mmがスタンダードなダイニングテーブルの天板の厚みですがスチールは遥かにこれを薄くできます。

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天板をスチールの板にすることと共に考えていたのは、一本の支柱で天板を支える姿です。
もちろん、テーブルとして必要な条件を確保するのが第一優先。
食事以外の「ものを書く」「肘をついて本を読む」「いろいろなものを載せる」といった使い方で
グラグラと不安定にならないよう、重く強靭なスチールの無垢棒をベースに使用し、支柱も同素材で作ります。

 

【Function】一本脚の機能と美しい佇まい

支柱を一本にするメリットは、「腰かける、立ち上がる動作の時に邪魔にならない」ことです。

一般的にダイニングテーブルは4本脚で、イスをテーブルに差し込むとき、脚と脚の間隔はそのイスよりも大きな「ゆとり」が必要になります。

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中空で太いパイプではなく、スチールの塊りである無垢の角棒を使用することで、質量的にも構造的にも省くことの出来ない最小限の部材のみで、テーブルそのもの存在感を極限まで軽やかに、そして実用的にすることを考え実現しました。

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天板サイズを小さくするほどテーブルは脚の間隔も狭くなるのでイスとテーブルの脚に人が入り込めるゆとりがない場合は、イスを一旦テーブルより後ろに引き出さないと座れません。
その為の余計な空間がイスの後ろには必要になるので、これではいくら天板を小さくしても意味がありませんし、また座った後に体をテーブルへ寄せるため何度もイスを引き摺る様子も、想像すると、とても良くありません。
多くの飲食店やファミリーレストランで採用される一本の支柱が天板を支えるこの形は、イスを大きく引き出すことなく、体を滑り込ませて座ることができます。

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これにより、ダイニングテーブルの周りにイスを引き出す余計な空間は必要なく、本当に必要なことのために、ダイニングスペースを使うことができます。

また、床の凹凸に対応するアジャスターについても、今回はベース脚が床からほぼ浮かない形を目指し、M10皿ネジの形状にフレームを切削加工し、フラットに収まるアジャスター機能を付けました。

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【Design】必要な広さと使い勝手

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薄さ3mmの天板は、2種類ある方が良いだろうと考え円形と正方形を作りました。
昔からの正方形ダイニングテーブルのサイズ(700×700)を見直し、最初のサンプルは650×650を作って検証しましたが、壁付けしたときにはそれでも大きいと感じ、最終的に600×600と、よりコンパクトに。
また、一本の支柱を支えるベースは、壁と平行になる想定で十字形をしています。
X(クロス)脚は、安定性を出すのには有効ですが、イスを引き出し、仕舞う動作時に、イスの脚がベースを乗り越えなければいけませんが、十字形であればそのままスッと、スマートな動作で奥まで仕舞うことができます。

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幕板もないので多くのアーム付きのイスも天板の下にすっきりと美しく収めることができます。
(*アーム高695mm未満)

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イスが仕舞われ、壁と平行に真っ直ぐ通るベース。ミニマルでありコンパクトな整然とした姿は、使わないときすら美しいという実用性が、新しい生活の中に馴染んでくれます。
壁付けした時のコンパクトさは、そのスペースの広がりに相当な効果を感じ、新たな可能性を確信しました。
また壁から離してカフェテーブルライクにしても素敵に使えます。2人までの食事を想定し、向かい合って使っても、斜めに座り合うのもとても新鮮さがあります。お茶をする程度なら3人で使うことも可能です。

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円形天板は、直径700mm。こちらは壁からイス1つ分ほど離して使うことをイメージしています。
丸天板の良いところはイスを置く位置が限定されませんので、対面でも少しずらしても。さらに、3人が集まっても使いやすい広さです。
2つの形ともに、スペースをコンパクトに抑え、カフェダイナー風な食事に限らず、リモートワークのスペースにも最適に。また、全体にスチールを使用することで実現した、その軽やかな見た目の印象は、他のインテリアの邪魔にならない、ミニマルなダイナー空間を提案しています。

 

新しい提案が作る、SOLID DINER TABLEの可能性

SOLID DINER TABLEには、さらにハイテーブルも用意しました。
通常のダイニングテーブルが高さ700mm。ハイテーブルは850mmとし、ハイスツールと合わせれば、さっと座って、さっと立ち上がることができる、圧迫感のないスタイルで、現代の生活スタイルにフィットします。

※高さ700mmのテーブルと同じく、天板は600×600正方形と700Φ円形の2種類を用意しています。

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・DINER TABLE (HIGH700mm)ROUND・SQUARE
/・HIGH DINER TABLE  (HIGH850mm) ROUND・SQUARE

家具の高さは、テーブルの高さより低いものが多く、揃いすぎると塊として空間に圧迫感をもたらせます。背の高いシェルフやハンガーなどで空間にメリハリをつけると、空間を広く感じる作用もあり、この通常より150mmm高いハイテーブルも、他の家具との高さに差が出て、全体の印象を軽くしてくれます。

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1本脚の場合、このようなハイテーブルは、通常なら100mm径のような「いかにも」な太い円柱パイプや、角パイプじゃないと天板を支えられませんが、強固な38mm角の無垢材スチールを使用し、見た目の印象は、ハイテーブルとして今までにない見た目に。すっきりとした空間に重さを感じません。

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テーブルの下にイスが収まった様子は、まさに「仕舞う」という言葉がぴったりなほど、存在を感じさせず
コンパクトです。

特にHIGH DINER TABLEの場合、目線が上にくるのでスペースがかなり広く感じ、ソファなどのリビング空間を充実させ、いつもの部屋を、違った視点から新鮮に楽しむことができます。
まるでテラス席に座ったような開放感を部屋の中で感じられます。

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SOLID DINER TABLEは、アメリカの映画に出てくる「DINER」という、簡単に食事をしに行く場所をネーミングに取り入れました。
欧米とは少し違った、現代の日本の生活に必要な、新しい選択肢になればいいという想いから生まれました。

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オフィスやホテルなどの公共スペースや共有スペースにおいても、ミニマルで整然とした十字形のベースは、並べられたときにも空間を美しく、その効果を発揮してくれます。

このSOLID DINER TABLEは、決して奇抜なものではありませんが、他では作られることのなかった新しい選択肢です。
日常の困りごとを解決するわかりやすいインテリア製品でもなく、安価でもありません。
しかし、誰かが必要とする、新しい選択肢として世に受け入れられることを、確信しています。

このテーブルによって様々な場所で、新しく空間を作り、心地よく感じる方がいらっしゃれば、嬉しく思います。

 

 

SOLID STEEL DINER TABLE の具体的なメリットをもっと詳しく

 ●What's  SOLID DINER TABLE 

 

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