“グッとくるシンプルさ”
が空間を解きほぐす「TUBE&ROD」

2023年6月20日

text & photograph   Ken Sheffner 

 “こだわり”とはなんとも面倒臭い生き物だ。例えばサイドテーブルを一つ選ぶ時でさえ、サイズ感や高さ、デザイン、色合い、素材の風合い、馴染みやすさ、普通すぎないかなど考慮したいことが山ほどある。サイドテーブルは無くてそう困るものでもないだけに、いったい何をもって選べば良いのか、悩みは尽きない。 

 長きにわたり悩んだものだが、最近は“シンプルさ”で選べば良いのではと思い始めている。それも「グッとくるシンプル」なデザインであること。“グッとくる”という感覚があれば、サイドテーブルのある情景は、不思議と洗練されたものになる。 

 この答えをもたらしてくれたのは、縁あって巡り会ったDUENDEのサイドテーブル「TUBE&ROD」だ。大小二つの円盤を、一本の“斜め”の円柱がつなぐ。ありそうでない佇まいが異彩を放っている。 

duende1

 黒の天板は存在感が出すぎてしまうだろうか? と思った。たしかに何も置いていない状態でナチュラルな部屋に置くと、多少の存在感がある。だが、物を置いてみるとたちまち、空間に溶け込んでいく。 

duende3

 例えば玄関脇で、小物を休ませる場所として。このような一般的なサイドテーブルの使い方であっても、小物を引き立てる余白が「TUBE&ROD」にはある。私がこのテーブルに“グッときた”のは、引き算されたシンプルな佇まいが生み出す可能性を感じたからかもしれない。 

duende5

ここからは我が家でのメインの活用方法をお見せしたい。あれこれ考えて、最終的にはソファサイドで肘掛け部分に当てがう形に落ち着いた。ブラックとウッドの組み合わせは、ほんのりと空間を引き締めつつ、ナチュラルな香りも漂わせてくれる。この絶妙なバランスが私は最高に好きだ。 

 

アート本や洋書などを置いてみると、天板のサイズ感も収まりが良い。ソファに腰掛けて音楽をかけながら読書をする。一息ついて本を置く。この瞬間の「TUBE&ROD」はサイドテーブルでありながら、美しいディスプレイとしても機能している。

duende7

 もう少々、マニアックな活用方法もご紹介してみよう。それは"サイドテーブルで朝食を"というものだ。深く考えずに朝食を置いてみただけなのに、不思議な心地良さを感じた。清々しい陽射しが届いていたからだろうか。お気に入りのプレートの美しさが際立っていたからだろうか。あるいは、その両方かもしれない。こんな風にさりげなく、気の向く場所で朝食をとってしまうのも良さそうだ。 

duende9

 我が家の玄関付近には広めの土間があって、育ち盛りの植物たちが並んでいる。スツールやプランタースタンドでも良いけれど、こうしてまだ若いグリーンを置いて、水やり用の霧吹きを何となく置いた姿も実に馴染みが良かった。 

duende11

 「どんなサイドテーブルを選べば良いのだろう?」。「TUBE&ROD」は、そんな悩みを軽やかに解きほぐしてくれる。読書やコーヒー、なんとなくぼんやり考え事。そんな憩いの時を、私はこのサイドテーブルと過ごしていく。 

 TUBE&ROD  

 

Ken  Sheffner

 ライター・エディターを経て、ブランディングディレクターへ。価値に輪郭を与えられる人を目指し奮闘中です。映画と写真と、どこ かの誰かがこだわりを注いで作り上げたモノが好き。どちらかといえば蕎麦派で犬派です。 

 

Twitter:https://twitter.com/Kenz0_S

Instagram :https://www.instagram.com/kenakc/ 

 

●COLUMN TOPへ

●ARTICLE TOP へ

 

 

NEW ARTICLES! NEW ARTICLES!
ページの一番上へ